入江泰吉と奈良

入江泰吉 私の大和路―春夏紀行 (小学館文庫)

入江泰吉 私の大和路―春夏紀行 (小学館文庫)


入江泰吉 私の大和路―秋冬紀行 (小学館文庫)

入江泰吉 私の大和路―秋冬紀行 (小学館文庫)


いつ頃この人を知ったのかよく憶えていない。ただ、奈良の仏像を扱った写真で印象に残っている作品は今思えば昔からこの人の作品が多かった。
そんなところからふとしたきっかけで奈良市写真美術館の存在を知った。下手の横好きながら写真に夢中になっていた頃だったこともあり、また、新しい車を買ったばかりで遠出をしたかった。近くの新薬師寺には修学旅行のとき、参観料をケチって中を観なかった過去もあり、と諸々の理由をつけ、奈良へと出かけた。もう10年も前の夏のことである。



着いた時間は憶えていないが、まだ暗かったので、4時頃かと思う。薬師寺を池越しに見るスポットで朝日をバックに撮ろうと目的地を探すが、暗い中で道も狭く、結構迷った挙句だいぶ明るくなった頃にたどり着く。
着いてみると蚊は沢山いるし、カメラを構えている人たちもすでに大勢。ベストポジションなど望むべくも無い。それでも三脚を立て日の出を待つが、雲が厚く「こりゃだめだな・・・。」の声が。
まあせっかく来たのだからと何とか撮影したが、とても人に見せられる代物ではなかった。


適当に朝食を済ませ、駐車場へ車を止め、過去を清算しに新薬師寺を見学。その後、目的の写真美術館を見学し、適当に昼食を済ませたらそのまま帰路へ。奈良での滞在時間はわずか半日でした。


数年後、仕事で約3ヶ月間奈良で過ごし、以後遊びも含めて通うこと数回、今では立派な奈良フリークである。


この人の写真集は何冊か買っており、見返すたびに奈良で仏像を観て回ったときのことを思い出す。写真は本物の迫力には敵わないけれど、本物とは違う何かを訴えかけてくるような気がする。
この本は文庫サイズなので、そんな気分をお手軽に味わえる。見返すたびにまた行きたくなる。
今度はバイクがいいな。